怒る男の子

私の中学校の通学鞄は入学時、
リュックサックタイプか、手に持つタイプの「選択制」でした。
時代の流れとしては前者に移行する時期だったので、
私も含め多くの生徒はそれを購入していました。

その後、学校は私たちの下の学年から
リュックタイプに統一しました。
時代の流れとしてはそのような考え方もあるでしょう。

問題は、なぜかそのルール変更を
私たちの学年にも適用したことです。
実際に手に持つタイプの鞄を使用していたのは、
転校生など少数だったので、
多くの生徒には影響の無い話でしたが、
転校生のK君ら数名に新規購入の必要が生じました。

K君が「新しい鞄を買わなくてはいけなくなった」
と言うのを聞いて、私は自分に実害が無いのに
「これはおかしい!」
と怒り出したのです。

学年主任に対して
「学校全体のルール変更は構わないが、
私たちの学年に適用するのはおかしい」と主張しました。

しかし学年主任は、遡って適用する理由の説明無しに
「お前には関係の無い話だろう」
と言って相手にしませんでした。

それに対して、
「K君など、実際に新しい鞄を買わねばならなくなる生徒が
いるじゃないか」という反論をしました。
今思うと戦術ミスだと思います。

自分に及ぶ影響とか損得の問題ではなく
「筋が通らない」という反論をすれば良かったと思います。

なぜならその後、K君達が新しい鞄を購入してしまったからです。
私の批判も一気に迫力を欠くものになってしいました。

結果、教務主任は勝ち誇ったように
「Kも買ったのだからもういいだろう」
と議論を終了させてしまったのです。

私は納得のいかないものが残りましたが、
当時の自分の論理力の無さの結果ですから致し方ありません。
また、K君や彼の両親の問題意識とは無関係に、
私が勝手に怒り出しただけなので、
K君らを責めるつもりも資格も全くありませんが、
何となく「梯子をはずされた気分」でもありました。
もっとも当時はそんな言葉は知りませんでしたが(笑)。

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