大きな門

現代の企業が学歴で志願者の選定を行うのは、
事務的な理由であると仮定しました。
当然ながら志願者全員の話を聞いている時間は、
人事の担当者にはありませんので、
「書類」での選考が行われるのは必然でしょう。

しかし、人事の本当の目的は「良い人材」を獲得することであって、
「学歴が高い人材」の獲得ではありません。
それなのに、その選定方法として「学歴」が根強く残る理由は
なぜなのか、考えてみたいと思います。

考えられる仮説としては

(1)ある程度、妥当性があることを企業が認めている。

(2)「学生」という市場が確立しており、
このシステムを変えたくない。

(3)他の選考方法が特に思い当たらない。
また、変革に手間が掛かる。

(4)その他の理由

ざっと、こんなものでしょうか。

まずは、(1)の理由について考察してみましょう。
“ある程度、妥当性があることを企業が認めている。”

これについては下記の様に考えられるのではないでしょうか。

学歴を獲得するために避けて通れない関門が「受験」です。
「受験」とはある一定期間(大抵が高校の3年間)の間に、
学生が任される「仕事」という見方もできます。

そう考えると、ある程度、長いスパンで仕事を投げた場合
「その人がどの完成度で仕事を仕上げてくるか」
が見えてきそうです。

そもそも、ペーパーテストで知識
(多くの場合、社会に出ても直接活用しない知識)
を問う問題の出来が、就職の判断に妥当か否かは
判断に難しいですが、社会に出てからも勉強や調査が必要になる
仕事は少なくありませんので、妥当性はあるでしょう。

しかも、ほぼ全員がある程度の機会の均等を与えられている
社会システムと考えれば、多少非効率であっても
社会システムのあり方としては悪くないかもしれません。
(これに対しては真っ向から反対している教授も
いらっしゃいますので、後日紹介します。)

こうやって考えていくと、企業の観点からも社会の観点からも、
手続き上の合理化が理由の一端を担っている気がしますね。

次回は、(2)の「学生市場」という観点で見てみたいと思います。
今日も良い一日を!

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