連載「頭のよい人はいつ勉強が好きになったのか」第4回

前回は、現役大学生の赤城君に
高校時代の留学体験についてインタビューしました。
赤城君は、現在、日本大学理工学部建築学科の1年生です。
私が経営している設計事務所に、
最近手伝いに来てくれるようになりました。

赤城君以外にも他大学も含め、
複数の建築学生達が手伝いにきてくれていますが、
大学1年生ながら自らの意思を持っています。
1年間ニュージーランドに留学していため、
理系での大学受験には苦労したようです。
(理系の場合、文系と異なり
留学による受験メリットが少ないため)

それでも彼は、留学する際のご両親との約束を守り、
現役で大学合格しました。
今回はそんな赤城君に受験勉強法について
インタビューさせて頂きました。

赤城侑真さん

(荘司)
赤城君の受験勉強法について教えてください。

(赤城)
まず環境づくりから始めました。
テレビやゲーム、マンガなど勉強の妨げになるようなものを
自分の部屋から取り除いていきました。
勉強に集中しやすい環境に
徐々に変えていったことを覚えています。
そして、学習スケジュールを考えました。

(荘司)
学生時代に成績が優秀だった方たちに、
学生時代の勉強法について尋ねると、必ず、
学習スケジュールを立てています。
赤城君にとって
学習スケジュールを立てる理由は何でしょうか。

(赤城)
おそらくゴールと、
それに至るプロセスを明確にしたいのだと思います。
自分が1日にこなせる学習量を
把握することも大切にしていました。
何より、毎日のノルマをこなしていけば
必ずゴールに到達できる訳ですから、
モチベーションも維持しやすいですし、
計画性も芽生えます。

(荘司)
他に受験勉強する際に工夫したことはありますか?

(赤城)
どんな時でも毎日、1時間は勉強するようにしました。
どんなに疲れていても、もしくは、
遊びたい誘惑があっても、必ず1時間は勉強すると
自分の中で決めていました。

(荘司)
なるほど。それは「作業興奮」
という心理を活用していますね。
「作業興奮」とはドイツの心理学者のクレペリンが発見した
人間心理の1つで、例えば、
「掃除をしなきゃならないけど面倒くさいなぁ」
と思っていても、ひとたび掃除を始めてしまえば
掃除に集中できてしまうというものです。
逆を返せば、面倒くさがっているうちは、
「やる気」を引き出ない。
やる気を引き出すには、アクションを起こすしかない。
それによって、脳のほぼ中央にある
「側坐核 (そくざかく )」という部分が刺激され、
やる気が生まれるそうです。
また、その際のコツは、いきなり面倒な作業を始めずに、
簡単にできることから始めると良いそうです。
10分ほど経てば「やる気」が引き出されてきます。

(赤城)
その心理はよく分かります。
僕も1時間は勉強しようと思い、
机に向かっていると気づいたら長時間、
集中できていたことがあります。
また、15分ほどの集中タイムのようなものを
決めたりもしていました。
「作業興奮」という心理作用を
無意識のうちに活用していたのかもしれません。

(荘司)
その他に勉強に対する工夫のようなものはありますか?

(赤城)
すべての時間を勉強時間にあてずに、
家事の手伝いもスケジュールに組み込んでおきました。

(荘司)
家事の手伝い?それはどうしてですか。

(赤城)
すべてを勉強可能時間として
スケジューリングしてしまうと、
それに甘えてしまうからです。
それに、たいした手伝いはしていません。
週に1度、早朝のゴミ捨てを担当したり、
トイレ掃除をする時間をつくる。
それによって生活のリズムのようなものを作っていきます。
特に、週の初めの月曜日は肝心なので、
積極的に家事を手伝う時間にあてていました。

(荘司)
勉強できる時間を自発的に絞り込んでいた訳ですね。
また、生活リズムのつくり方も素晴らしいです。
最後の質問となります。
赤城君はまだ19歳なので少し早いかもしれませんが、
もしも将来、自分の子供に
「なんで勉強しなきゃならないの?」
と聞かれたらどのように答えますか?

(赤城)
「勉強というものは、
自分が欲しい知識や情報を得るために
必要な技術なんだよ」
と答えます。
自分の夢を実現するためには、
社会や世の中のしくみを知らなければならない。
それらを学び、理解する意味もあります。

(荘司)
今日はありがとう。
赤城君のような建築学生がいることを誇りに思うと共に、
この国の未来に希望を見出すことができました。
今後も健全に頑張っている学生達を
フィーチャーしていきたいと思います。

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