怒る男性

泣いても笑っても教育実習最後の授業を迎えました。
失敗の連続だった2週間で得たものを全て投入しよう、
とにかくベストを尽くそう、
とある意味、開き直っていました。

教頭先生など諸先生方や仲間の実習生の見守る中、
いよいよ授業の開始です。

『今日の授業はフランスの農業ですが、
本題に入る前にこれを見て下さい。
ここにあるのは日本酒というお酒ですが、
さて、この日本酒、原料は何でしょう?
布を取って、ジャーン「お米」です。
次のお酒。
バーボンウィスキーというのですが、原料は?
ジャーン「とうもろこし」です』

・・・と予定通りに授業は進みます。
そして反応は・・・。

生徒達は冒頭から予想以上の
物凄い「食いつき」を見せたのです。
布を取る度に「え~うっそ~」「意外~」
などという驚きの声を連発し、
食い入るように教壇の品々を凝視していました。
「ワインとその原料のブドウ」でも上々の反応を見せ、
その後の試食でも、フランスパンの堅さや
チーズやワインの強い香りにとても良く反応し、
歓声を上げ続けました。

それまでの苦悩が一体何だったのか・・・。
と「拍子抜け」するくらいの
生徒の変わりようでした。
生徒達の豊かな反応を見た私は
大いに笑っていたようです。
心の中で「ヤッタ~」とガッツポーズを
していたかも知れません。
2週間の苦悩から解かれた解放感、
最後の最後でうまくいった
安堵感からきていたと予想されます。
傍から見れば、「ゲラゲラ」笑っていたようにも
見えたかも知れません。

ところが、次の瞬間、
大いに盛り上がっていた教室に怒鳴り声が響きました。

「やめろ!」

教室が一瞬凍り付いたようにシーンとなりました。
見ると、教室の後方にいた教頭先生が
怒りの表情で私を睨んでいるではありませんか。
何と、教頭先生が突然、
授業に制止命令を下したのです。
私は何が起こったのか、
すぐには理解できませんでした・・・。

結局、その後まとめの話に切り替えたのですが、
中途半端な結末になってしまいました。

9つの誤解:間違いだらけの“子育て”