ペットボトルを持つ少年

今年は猛暑が続いて熱中症で緊急入院された方が
例年の2倍らしいです。

みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

熱中症とは、汗などによる脱水で水分が不足し、
体温が上がってしまう状態をいいます。
熱中症対策には水分補給が基本となるわけですが、
水分であればなんでもいいというわけでもないようです。

汗には塩化ナトリウムが約0.6%含まれています。
そのため、汗をかくと塩分も失われるのです。

体液と同じ成分の食塩水で「生理食塩水」というものがあります。
これは薬局で買えます。
生理食塩水には塩化ナトリウムが0.9%含まれているので、
1リットルの水に塩を9グラム混ぜてご自宅で作ることもできます。

さらに人間の体内の浸透圧と同等にするには
糖分が2.5%含まれているといいそうです。

そこで、ポカリスエットなどのスポーツドリンクが役に立ちます。
しかし、気をつけないといけないのは、
市販のポットボトルのスポーツドリンクでは
糖分の含有量が多すぎるということです。

ポカリスエットを例にとれば、糖質が6.7%入っています。
体が吸収しやすい糖質の目安は2.5%です。
糖分が多すぎると吸収が悪くなってしまいます。
そのため、水で2.5〜3倍に薄めて飲むといいとされています。
さらに体温に近い方が吸収がいいので、
お湯で薄めて飲むことをオススメします。

さて、ここからが本題です。
糖分が口の中に入るということは、虫歯のリスクがあがります。
具体的に言うと、ポカリスエットのph(*1)が3.5です。
歯が溶ける臨界点のphは5.5〜5.8なので、
ポカリスエットを飲んだ時点で酸によって歯は溶けるのです。

特にお子さんの歯が溶ける臨界点のphは6.2程度なので、
より早い段階で溶け始めます。

口腔内の酸が唾液によって洗い流されて、
歯が溶けた分が再石灰化するのに3時間ほどかかります。
ということで、ポカリスエットをお子さんに飲ませる時には
必ず3時間ほど時間をおいてから飲ませるようにしてください。

ペットボトルで渡していつでも飲める状態にしてしまうと通称
「ボトルカリエス」(カリエスは虫歯の意味)と呼ばれる
特徴的な虫歯になります。
これは、歯が部分的に虫歯になるのではなく、
歯の表面のエナメル質全体がぼそぼそになってしまう怖い虫歯です。
酸蝕症とも呼ばれます。

できれば糖分を補給した際にはお口をゆすぐようにしてください。

(*1)
今回出て来たphと虫歯については以下をご覧ください。
【虫歯ってなに?(2)】
⇒http://www.lyceum-planta.com/?p=711

それではみなさん、今日もよい食事を!

 

 

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