ブランコを楽しむ子ども

大阪の橋下市長がかみついたことで、
かえって作家曽野綾子氏の主張が話題になりました。

曽野氏は、
(1)人を改変する力は多分に偶然によるもの
(2)人は同じ外的刺激を受けても
予測されるのと同じ結果は生まない

と主張されておりますが、極めて常識的な話では無いかと思います。

橋下氏は「(教育で)人は変えられると思っていないなら、
教育再生会議のメンバーを辞めるべきだ」とお怒りのようですが、
曽野氏がおっしゃりたいのは「人を変えようと思っても、
親や教師などが「想定した通りに変わる」とは限らない」
ということだと思います。

今一つかみ合っていない論争は脇に置き、
問題を上記のように整理すれば、
多くの方が経験的にそのように感じるのではないでしょうか。

親や教師など、教育する側の経験のある方なら、ついつい
「なぜ、言った通りやらないんだ(できないんだ)?」
と思ったことはあるでしょう。
逆に教育を受けた側だって、
親や教師の言う通りやらないこともありました(反抗)し、
できないこともありました(不可能)。

そもそも、個性は一人一人異なりますから、
ある刺激に対する反応など千差万別ですし、
人は様々な人やモノから複合的に影響を受けて成長しますから、
実験的空間で純粋培養でもしない限り、
その変化が親や教師の想定の結果なのかどうかを
確認することさえ不可能です。

自戒も込めて申しますが、教育する側になると、
昔のことなど棚に上げて、ついつい、
きちんと教育すれば想定通り成長する(変化する)
と思ってしまうものです。
成功体験が多い方はその誤った信念を強くしますし、
早々につまずいた方は、そう言えば自分もそうだったと
思い出すことになるのでしょう。

予備校で長く教え、このような教育関連のコラムを書きながらも、
毎回、思った通りにいかないことの多いことに
気付かされるものです。
そのうちに(私もそうですが)「教育とはそういうものだ」
と気付くようになるのではないでしょうか(笑)
(続く)

 

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