黒板:単語の融合

「取りあえず覚える」ことの重要性について考えてみました。

私自身、子どもの頃、「理解できない」のに
覚えなければならないことに虚しさを覚えていました。

中学生の時、因果関係も分からず
「世界恐慌、米国はニューディール政策、英国はブロック経済」
と覚えてテストをやり過ごし、高校生の時は
「虚数、ベクトル、微分・積分、対数、行列」など、
そもそも何のためにこんな概念が必要なのかさえわからないまま、
赤点ギリギリでクリアしたりしていました。

でも今、教える側になってみると、
「取りあえず覚える」ことさえ大切に思えるのです。

授業の中では、世界恐慌、ニューディール政策、
ブロック経済などがどう関連するのかを説明します。
この時、受験生の中にある個々の単語の間を
「因果関係や論理」でつなげていく作業になるでしょう。
すると、受験生は、「そういうことだったのか…」と、
長年疑問に思っていたことが「腑に落ちる」感覚に
「感動」すら覚えるのです。

この時重要なのは、それぞれの単語について、
意味はわからなくてもいいから記憶している、
聞いたことがあるという状態になっていることです。
説明を聞いて
「ぶろっくけいざいって何?生まれて初めて聞いた・・・」
という反応の受験生はその感動に至れないのです。

さらに、今まで「何だかわからないけど・・・」
と思っていたことが重要です。
長い間「疑問を寝かせておき、熟成させておけばおくほど」
疑問が氷解した時の感動は大きいのです!

長い人生、初めて教わった事柄の「全容」を
すぐに理解できることばかりではありません。
「積分」まで学習して「微分」の意味が理解できたり、
明治憲法の内容や戦前の人権侵害の歴史を理解して初めて
日本国憲法の意義が分かったりしたりすることがあるものです。

「理解できないから覚えるのはイヤ」
などと言っているといずれくる感動を味わえないのです。

このことについて子どもの頃の自分にも
説教せねばなりませんね(笑)

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