不味そうに食べる男の子

前回は偏食による味覚障害の概要についてのお話でした。
今回はもう少し深く入り込んで、
主な原因である「亜鉛」不足についてのお話です。

それでは「亜鉛」とはなんでしょうか?
亜鉛は古代ギリシアで紀元前4000年から銅との合金である
「真鍮」として使われており・・・という歴史的な話は、
今回は割愛しますね。

亜鉛は、核酸やタンパク質の合成に関与するため、
子供の成長・発育に不可欠な元素です。
また、必須ミネラル(無機質)16種のうちの1つです。

亜鉛が欠乏すると、骨格の問題、
成長・発育の阻害、皮膚の問題、味覚や嗅覚などの
感覚器官に関する問題、
糖を分解するインシュリンの生成が減衰して
糖尿病になりやすくなる、男性機能の低下(ED、精子の減少)、
生理不順などが生じます。

ここでは、味覚に関する問題を取り上げていきます。

味覚は舌の上の「味蕾(みらい)」と呼ばれる
感覚器官によって感じることができます。
この味蕾は舌の表面にあり、
「甘味」「塩味」「苦味」「酸味」を感じることができます。
ちなみに「辛味」は「痛覚」で感じるため、
他の味とは感じ方が違います。
甘いものを食べながら唐辛子を食べれば
甘みを感じながらヒリヒリできます(笑)

味蕾は舌の表面に約9000個存在し、
小児期に豊富で、年齢とともに減少すると言われています。

また、約20日で細胞が入れ替わります。
それだけ早く消失と再生を繰り返す細胞なのですが、
この味蕾の再生には亜鉛が必要なのです。

要するに、味覚が減衰する理由は、
亜鉛不足による味蕾の再生不全なのです。

さらに、成長期の子供の場合には、
この味覚障害はとても深刻な問題へと発展します。

味を感じる機能が衰退することにより、食欲がなくなる。
食欲がなくなるので栄養失調となり、成長・発育が遅れる。
(ただでさえ亜鉛不足によって成長阻害が生じています。)

また、ストレスへの感受性を低下させるために肝臓での亜鉛の消費が必要になります。
亜鉛が不足すると精神的に疲れを感じてうつ症状や自閉症になる原因になります。

結果、イライラするのでキレやすくなる。

亜鉛不足により皮膚の再生力が減衰するため、
口内炎になりやすい、皮膚炎になる、
傷が治りにくいなどの症状が起こる。
骨の再生も減衰するため、
骨折しやすい、低身長・低体重になってしまう。

などなど・・・。

怖いですねぇ。

そんな重要な亜鉛が、なぜ不足するのでしょうか?
また、どうすれば効率よく摂取できるのでしょうか??

次回は亜鉛の不足する原因について、
紐解いていきたいと思います。

それではみなさん、今日もよい食事を!

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