子ども:紙飛行機

ありがとう、という言葉。

子どもに対して、「ありがとう」という言葉をかける大切さ。
それを、改めて考えてみようと思います。

我が家では、意識して子どもらに「ありがとう」
という言葉をかけています。
例えば、お手伝いをしてくれたとき。
例えば、仕事に出る際にお見送りにきてくれたとき。
例えば、道で拾った木の葉っぱを持ってきてくれたとき。

「ありがとう。お手伝いしてくれて嬉しいよ。」
「お見送りありがとう。いってくるねー。」
「きれいな葉っぱを見つけてきたんね。
持ってきてくれてありがとう。」

感謝の言葉は、子どもの「人に優しくする心」を養います。
そして、「自らを肯定する力」を高めていきます。

自ら肯定する力を持たないと、どうなるか。
それは、「人目(ひとめ)」「人からの評価」「評判」に
ぐわんぐわんと揺り動かされる人間になる恐れがあるということ。
(「空気を読む力」というのも、もちろん大切です。
ただ、今日の本題とは少しずれるので、それはまた別の機会に・・!)

人からの評価にいちいち「反応」してしまうと、
自ら課した大きなミッションを果たせない場合が多いです。

例えば。
「パイロットになりたい!」
という夢を持ったとします。
この夢は、何歳のときに持った夢でも構いません。
ご自身の想像しやすい年齢でイメージしてみてください。

「私、パイロットになる!」
人にそう言った際、
『えー、お前には無理じゃね?だって○○だし、△△だし。』
などと言われて、いちいちそれに「反応」してしまっていたら。
「そうか・・。無理か・・。」
と、人からの評価だけで自らの未来を決めてしまう状況に
なりかねません。

ここで、自ら肯定する力を持つ人はどうなるか。
「うん、確かに今のままでは無理かもしれないな。
でも今日からあれをこうして、来年にあれをやって、
3年後にここまで辿り着けば、どうにかなるな。
よし、頑張るぜよ、自分。」
となります。
ちょっと極端ですが・・!

「ありがとう」という言葉に纏わる話を、もうひとつ。
関根正明さんという、ある学校の校長先生のお話。

昭和58年。
関根さんは、ある中学校に赴任しました。
開校から7年目のマンモス校で、「問題校」でした。
校舎はまだまだ新しいのに、校内はゴミだらけ。

関根さんは、自ら率先して校内のゴミ拾いをしました。
学校がきれいになれば、
生徒の心も徐々にきれいになっていくだろう、と。
そんな思いがあったから。

ある日、関根さんがいつものようにゴミ拾いをしていると、
当時で言う「つっぱり」の生徒がやってきて、
「おう、校長。あそこにゴミが落ちてるぞ。」
と言ってきました。関根さんが思わず、
「ゴミが目についたなら、自分で拾いなさい。」
と言うと、その「つっぱり」は
「うるせえ、俺が捨てたんじゃねえや。」
と怒鳴る始末。

こんなことが幾度か続き、関根さんの気持ちは暗澹としてきました。
そんなとき、関根さんに幸運な出会いがありました。
この出会いの内容は割愛しますが、
この後、関根さんの心境に大きな変化が訪れました。

夏休みが終わった、新学期。
関根さんは、いつものようにゴミ拾いをしていました。
すると、例の「つっぱり」がまたやってきました。
「おう、校長。ここにゴミが落ちてるじゃねえか。」
関根さんは自然と、
「ああ、そうか。ありがとう。」
という言葉を返していました。
「きたねえな、この学校は。」
「そうだね。」
その後、このつっぱりは、
関根さんと一緒にゴミを拾い始めたのです。

後に、関根さんは振り返ります。
自分自身が発した「ありがとう」という言葉が、
彼を変えたのだろうと。
それまで、親からも含め人から感謝などされたことのないその子が、
「ありがとう」と人から感謝されて心が動いたのだろう、と。

それから、その学校は徐々に変わり始めました。

「ありがとう」という言葉。
ぜひ今日、いつもより意識して使ってみてください。

素敵な1日を!

 

 

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