本を積み上げて勉強する、男の子。

「科学が厳密な数値では無く仮説によってなりたっている」
というお話までやってきました。
ここまでくれば、理科という科目を通して
「知識」だけでなく様々な内容を学べそうですね。
ええ。文系の学生さんも。

そうなんです。
実は理科について深く考えていくことで
「情報の切り方のセンス」が養われるんです。
実験結果は単なる「データ」であって、
それをどの角度で捉えるか。

これは実生活で「情報」をどう扱うか、
という我々が直面している問題と全く同じです。
「データ」の採取方法に始まり、条件の付け方、
さらに調査結果の「生かし方」や「見せ方」
を考えるきっかけを掴むには、うってつけの科目なんですね。

小学校のレベルで言えば、「適切な単位」を用いて
グラフに書き込む重要性もこの科目は教えてくれます。
本当に極端な例ですが、前回から利用している落下の実験を
例に挙げて考えてみましょう。

校内の様々なところから落とした実験データをグラフにする場合、
グラフのy軸(縦の線)は cm か m 単位が適切ですね。
この場合は落とした場所を巻き尺で計る際に cm 単位や m 単位を
用いるので何の疑問も無くその単位を使うんですが、
せっかくなので km 単位でもグラフでも表して欲しいものです。

km 単位で表したグラフにするとx軸の近くに
点が集中して何が書いてあるか分からなくなり、
同じ結果を表しているグラフが途端に
「使えないグラフ」になってしまいます。
この様に同じ方法で採取した情報でも「表し方」が違うだけで、
気づくものも気づかなくなってしまうんです。

この事実をもっと斜に構えて考えてみましょう。
cm、m 単位で取った実験で満足のいく結果が出たとしましょう。
要するに、何回同じことをやっても信じるに足る正確さで、
似たような結果がでた場合ですね。

そうすると、人はそこに「法則がある」と仮定するわけです。
何種類か試した結果、全てに相関関係が見られるから、
同じ条件であれば一定の相関関係があるんだ!と。
いわゆる「帰納的証明」ですね。
論理的には正しそうです。

しかし、学校でやる落下実験で言えば km 単位での
落下実験はやってない。
まぁできないでしょう。何より危険です。

その時に「km 単位で言えば法則が
変わる可能性があるんじゃないか」
という仮説も立てる必要性もあるんじゃないかと思うんです。
こういう仮説を子どもと一緒に立てていき、
研究意欲を高める為にも理科という科目は
非常に有意義だと思います。

さて、少し論理の話が出てきましたので、
次回は論理を絡めたお話をしていきたいと思います。
理科を考える上で、新しい発見があれば嬉しいです。

それでは今日も良い1日を!

 

9つの誤解:間違いだらけの“子育て”