ピアノを弾く猫

前回は、「表現」と「テクニック」の認識の差について
お話ししました。
今回は、「テクニック」に絞ってお話ししようと思います。

ピアノを習った経験のある方なら、誰でも「バイエル」
「ハノン」という教材は知っているのではないでしょうか?
これらは、基本的なテクニックを身につける為の教材として
認識されています。
私もこれらの教材を通ってきましたし、沢山の事を学びました。

しかし、この教材を「楽しい!大好き!」と感じていた人は
一体どれくらいいるでしょうか?

私がヨーロッパの先生に、
「ここの難しい部分、どうやって練習しているの?」
と聞かれたとき、今までやってきた通り
「リズム練習したり、反復練習したりしています。」
と何の疑問もなく答えました。

先生は言いました。
「それはどうして?楽しいか?」

そう言われた時、私の頭はパニック状態でした。
「どうしてって言われても昔からそう教わってきたし、
実際弾けるようになってきた。
部分練習は、弾けるようになったら嬉しいけど、過程は楽しくない。」
思うがままを話すと先生はレッスンを中断しました。

「確かに君が行っている手法は誰もがやっている。
それで弾けるようになっている事も素晴らしい。
だけど、このパッセージ、似たような形が
こっちの曲にも出てきているよね。
何故応用できないんだ?
日本人ならハノンをやってきたんだろう?
ハノンにもこの様な形のトレーニングがある。
部分練習でも、ハノンでも、全て音楽なんだよ。
全てつながっているんだ。別に考えちゃいけないよ。
君が身につけたテクニックが、
君の音楽の世界を広げてくれるんだから」

それからというもの、私は部分練習が楽しくて仕方なくなりました。
それまで、正直なところ、
嫌々やっていたハノンも、弾くたびにワクワクします。

もし先生から「ハノン」や弾けない部分の練習を言い渡されて、
退屈だと苦しんでいるのなら、
その先の世界を想像してみてください。

きっと練習が楽しくなりますよ。

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