学校でのやっかみ

学校内のいじめ問題が取り沙汰される際、
「教師はいじめに気付かなかったのか」ということが
問題になることがあります。
個々のケースは事情が異なりますので、
個別具体的な検証が必要ですが、
自分の子どもの頃の経験から想像するに、
教師が「気付かない」ことや、
さらに「誘発する」ことはよくあるように思います。

私の小学校の後半はジャイアンのようなガキ大将による
頻繁な攻撃との戦いの日々でしたが、教師の些細な発言が
その攻撃を誘発することも良くあったのです。

授業中の「さすが佐藤クン」「佐藤クンならできるよね」
などという「お褒めの言葉」も突出すると、
ジャイアン君を始め、まわりの児童の「やっかみ」を誘発し、
それが私への攻撃へと転じますから、
私はいつもハラハラしながら聞いていました。

あるテストの返却時、理科の先生が
「この問題、佐藤クンでもできなかったか・・・。
難しかったかなあ・・・。」
とつぶやきながら答案を手渡しました。
この瞬間、私は
「今日の放課後はすぐには帰れないだろうなあ・・・。」
とがっかりしたのを記憶しています。

その問題は「冷蔵庫の冷たい空気が出るところは、
なぜ最上部にあるのか」という主旨の設問でした。
「冷たい空気は下降するから」と解答すれば良いところ、
私は「製氷室」のことだと勘違いして
とんちんかんな解答をしたのです。
昔の冷蔵庫は製氷室が最上部にあったので、
それをイメージしてしまったのです。

さて、放課後。案の定、ジャイアン君が
「佐藤クンにできない問題は難しいんだよね。
俺たちができなくて当然だよな~」と絡んできました。
心の中で「あ~あ、面倒くさいなあ・・・、先生、
何であんなこと言うかなあ・・・」と思いました。

現在、自分が教える側に立ち、自分の発言と
その反応に肝の冷える場面はありますが、
自己の発言・行動が教室の中のどのような現象を引き起こすのか、
よく観察した上で為さねばならないでしょう。
教師の感受性が問われる場面だと思います。

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