ガキ大将より怖い、父親。

道徳的に生きることと、学校で勉強することとは
一体どういう関係にあるのか・・・。
これはずっと私を悩ませた問題でした。

多くの方の道徳心のルーツは両親にあると思いますが、
私の場合は特に父親の影響が大でした。
大変厳格な父親で、人の道に反する行為、
卑怯な振る舞いなどは大変厳しく叱りました。

とても恐い父親で、彼が怒ると「恐怖のどん底・超ナマハゲ級」
の怖さでした。
社会人になってから、父親が孫(私からみた姪)
を叱る場面に遭遇した時があります。
その時、一瞬子どもの時の恐怖が蘇り、
身体が固まるという経験をしました。
子どもの時の感覚はずっと続くものです(笑)

だから、悪いことしようにも、次の瞬間には、
「恐怖の父親」が脳裏をよぎり、
悪行を抑制するという状況だったのです。
超「ナマハゲ効果」と言えるでしょう。

小学生4年生から6年生までクラスにガキ大将がいました。
やっかいなのは、そのガキ大将が時々、誰かをいじめる、
女子をからかうなどの指示を出すのです。
喧嘩の強い彼の指示ですからクラスの多くの男子は
その言いなりになっていました。
しかし、私の場合、ガキ大将よりも父親の方が恐いのですから、
言いなりになる訳にはいきません。
指示を無視するのですが、そうなると、
今度は私がいじめのターゲットになりました。
小学校後半の3年間はそのような葛藤の日々でした。

父親のことを回想するとプロ野球のある試合を思い出します。
1987年6月の巨人-中日戦です。
その日、中日の宮下昌己投手の危険球に激怒した巨人の
クロマティ選手がマウンドまで走っていって、
宮下投手の顔面に右ストレートを浴びせて退場になりました。
試合後「何故逃げなかったのですか?」と問われた宮下投手は
「あそこで逃げたら後でベンチの星野監督にボコボコにされるから」
と答えたそうです。
私はこの時の宮下投手の気持ちが大変良く分かります。

私には「ベンチの星野」と同じような
「脳裏の父親」がいたのですから・・・。

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