ベンチで怒る女の子

当時のKちゃん(次女)は、旅の度に
「お友達」を増やしてたのですが、
予想外のお友達参加にご満悦でした。
思案橋界隈を散策し、路面電車で諏訪神社に行きましたが、
その間、紙袋から顔を出した黒いイヌを眺めながら
「名前、何にしよっうかな~」とウキウキでした。
Kちゃんにとって新しいお友達に名前をつけるのが
さらに楽しみだったのです。

諏訪神社でのお参りを終えベンチで一休みしました。
その時にお姉ちゃんのRちゃんがあることに気づいたのです。

「あれ~Kちゃん、この子、名前あるよ~」

黒いイヌをよく見てみると、
赤い首輪に「UTANOSUKE」と書いてるではないですか!
実はこのイヌ、まっさんが個人で所有する大村湾の
「詩島」に住む「詩之介」というラブラドールの
キャラクターグッズだったのです。
家族は「な~るほど」となったのですが、
Kちゃんだけは一人憮然とした表情です。

「どうしたのKちゃん」と尋ねると、
「名前つけたかった~あ」とふくれっ面です。
大人には「そういうことなのね」で了解できるけれど、
子どもにしてみれば「せっかく命名しようと思ったのに・・・」
となるのかと新鮮な驚きでした。
Rちゃんは「だってKちゃん、この子、本当の名前あるんだよ~」
と新規命名には反対の立場です。

そこで、ベンチに座らせてお話をしました。

「Kちゃん、名前をつけたい気持ちはわかるけどね、
この子は詩之介という名前なんだって。
もしね…Kちゃんがよその家に行くことになって、
そこの家族が『かわいい~みんなで名前をつけてあげましょう・・・』
ってなったらどう思う?
KちゃんにはKちゃんという名前があるんだよ・・・」

しばらく「う~ん」と考え込むKちゃん。
やがて顔を上げて笑顔になりました。

「詩之介でいい・・・」

吹っ切れた後は「うたのすけ~」
ととてもかわいがってくれました。

私はこんな小さなできごとでも子ども達の
「心の栄養」だと思い、丁寧に対処しようと思っています。
詩之介もKちゃんも良かったね!

 

9つの誤解:間違いだらけの“子育て”