握手

前回のお話では成長を促進させるのに「褒める」行為が
如何なる影響を与えるかお話しました。
その際に、お子様と良い関係を構築するのに褒めるという手段が
有効であると話しましたが、実はここで一つ疑問が生じます。
僕はこのテーマでお話を始める際に「良い人間関係」とは
『各人の自己実現を相互に助け合える関係の構築』と定義づけました。

前回のお話では親が子どもを褒めることで
「子どもの自己実現を助ける」
ところまでお話しましたが、それではいささか一方的で
「自己実現を相互に助け合う関係」
に至るのか言及されていません。

お父さん、お母さんにとってお子様が成長することが
自己実現となりうることは重々承知ですが、
今回はもう一歩踏み込んだ見解を述べさせて下さい。

「褒める」という行為は、簡単な様で実は非常に難しい行為です。
理由は簡単で「褒めるべき内容」を見つけられなければ
「褒める」という行為に至らないからです。
では、「よく褒める親」とはどういった方々なのでしょうか。

様々な特徴が挙げられますが、共通する特徴の中で最も多く感じるのは
「目と耳が非常に良い」ことです。
当然、視力や聴力検査のお話ではありません。
しっかりとお子様を見て良い所を見つけ、お子様の話を真剣に聞く。
その中で「良いところ」や「褒めるべきところ」を見つけるのが
非常に上手です。
その際に、思った内容とその理由をしっかりと説明し、
一回一回丁寧に褒めていらっしゃいます。

このプロセスを通じて、お子様は
「成長の動機付け」がされることはもちろん、
実はもう一つ非常に大きな財産を継承しています。

よく言われますが、やはり子どもは親の背中を見て育つ。
そう。この瞬間に
「人の良いところを見る目」
が見えないところで着実に継承されていきます。
当然、その後の社会との関わり方で性格は形成されていくので、
一概には言えませんが、この様に育った子どもは
「人をよく褒める」要素を確実に持って育っていきます。

これこそが「褒める行為」の偉大な副産物です。
自分の最も身近な人が、しっかりと人を見て
「褒めるべき時に褒めれる様になる」ことで
「相互に助け合うパートナー」が
一人増えることになるんですね。

褒めるお話。次回からも、もう少し続きます。
しばし、お付き合い下さい。

それでは良い1日を!

 

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