英語の複数形の正体

単数系や複数形など日本語にはない概念を
欧米言語は有しているわけでありますが、
その本質について解答していきたいと思います。

下記、問題編で扱った問題です。
これを軸に解説をしていきたいと思います。

Q. 次の「リンゴ」は英語ではどのように表されるか答えよ。

<スーパーで買い物中>

男「さて、必要なものはとりあえずそろったな。
お、(1)リンゴだ。(2)リンゴ買ってく?」
女「私は別にいいわ。欲しければ買って。
それにしても(3)大きなリンゴね。
夕飯食べられなくならなきゃいいわよ」
男「わかってるって。
じゃあ、帰りにおやつ代わりに
車の中で食べるから(4)リンゴ買うね」

ちなみに答えは状況にもよりますが
(1) 複数
(棚にリンゴが一つしか残ってない場合を除く)
(2) 複数
((1)で一つだったら「the」になる。単数になる場合は後述。)
(3) 複数(棚にリンゴが一つだったら単数)
(4) 単数(男が大食漢の場合を除く。
(ちなみに(1)でリンゴが1つしか残ってない場合は「the」になる)

となります。
これは、どういうことでしょうか。

実は彼らは、
原則として無意識のウチにこのように考えています。

行為の目的を含む場合は「単数」か「数詞」、
漠然と目的も無く話題に挙げただけであれば「複数」。

まず(1)は棚のリンゴを見たわけで、
恐らく棚には複数リンゴがあるはずです。
もちろん、一個だけなら単数ですが、
スーパーでは、それは無いでしょう。
そして、この場合は「リンゴを話題に挙げただけ」なので、
そこに「目的」は存在しません。
従って、この場合は単純にリンゴの集まりを指すだけなので
「複数形」。

(2)ですが、これは「買う」という行為を示唆しています。
しかし、「買うか否かも分からない」
ので正確な「目的」にはなりません。
もしこれで「単数」であれば
「(一応)一個買っとく?」という意味です。

更に、もともと男が自分の分は買うつもりであれば
これを漠然と複数形にすることで
「君も食べたいかい?」というニュアンスになります。

しかし、相手が欲しい数も分からないので「複数形」です。
(1)で一つだった場合は、
「そのリンゴ」という「相手との共通認識」
を持って指しているので「the」になります。

話す人が「相手と同じ認識」を持っていると思ったら
「the」を使うんです。
実は「the」って非常に主観的なんです。
だからこんなことも起こりえます。

A「The girl was so hot! Don’t you think so?
(あのコ、相当イケてたと思わん?)」
B「The girl? Who are you talking about?
(あのコって誰だよ?)」

AはBも同じ女の子を見ていると思ったわけで
「the」を使ったんですが、
Bはまったく眼中に無かったようです。
こんな風に「the」って非常に主観的なんですね。

(3)は、(1)によります。
(1)で一個だったら単数で、複数だったら複数です。
ちなみに、「リンゴ」という言葉は使わず
「By the way, they are so big」
になる場合も十分ありえます。

(4)は男が大飯食らいであれば複数形の可能性があります。
その際に、自分が食べる目的が明確で、
何個まで食べれるかを計算していれば
「数詞+複数形」になります。

例えば3個だったら
「three apples(three of them)」になります。
計画的でなく、とにかくボコボコ袋に入れ始めたら
「複数形」になります。
数は重要視していないからです。
まあ、通常は、そんなに大きい食べ物であれば
1つで事足りますね。

この場合の1つは
「明らかに食べる目的」が含まれています。
この場合「a」がつくんですね。
少しでも理解の助けになれば幸いです。

また、他の例えで言えば

I like horses.
俺、馬好きなんだよ。

I like a horse.
俺、好きな馬がいるんだ。

これを応用すると

I like girls.
俺、女ったらしなんだ。

I like a girl.
俺、今恋してんだ。

全然違いますね!
下には明らかな「目的意識」を感じるでしょう?

まぁ、個人的には、
こんなこと意識しなくても英語は通じますので
どんどん話して下さいと思うんですが・・・(笑)。

会話に少し慣れてきて、
微妙なニュアンスを伝えたくなった際、
契約書を書く際などには効果を発揮すると思います。
一番は、お子様に質問された時に
減点対策として用法用量を守ってお使い下さい。

それでは今日も良い1日を!

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