研究者

引き続きテーマは算数。
今回は算数についての、2つ目の特徴。
「算数では文章を様々な角度で捉える」
という特徴が、私なりの算数の定義である
「本質を捉える力の礎」とどのように関連してくるかを
お話していきます。

今回はこの様なお話をするのに
とっておきの問題をご用意しましたので、
ちょっと考えてみて下さい。

科学者のDr.カイトウはある細菌を生み出しました。
この細菌は、以下の特徴を持っています。

1. 容器Aに入れるとなぜか繁殖を開始して1秒毎に倍に増える。
2. 問題には関係ないけれど、細菌は人畜無害。
3. 容器いっぱいに増えたらそれ以上は増減しない。

Dr.カイトウは細菌を一匹だけ容器Aに入れたら、
1分で容器は一杯になりました。
さて、問題です。

(1) この細菌が容器の4分の1を満たしていた時は、
細菌を入れてから何秒後ですか?

(2) もし始めにこの細菌を2匹入れていたら、
何分何秒で容器は一杯になったでしょう。

ちょっと考えてみて下さい。

難しいですよね。
ちなみに15秒じゃないですよ。
繁殖する量が倍に倍に増えていくので1秒経つと
膨大な量に増えることになります。
15秒から1分までには45秒もありますので、
数えきれないほどの量の細菌が増えていることになってしまいます。
4倍程度じゃ済みません。

ちなみに高校数学を用いると面倒ですが解けます。
しかし、算数で学習する発想の転換。
まさしく「文章を様々な角度で捉える」努力をすることで、
驚くほど簡単に解けてしまうんです。
さて、どうするか。

算数の答えは基本的に1つですが、
その答えに辿り着く方法は原則的に制限はありません。
試験では制限時間内であれば、
不正行為をしない限り何をしてもいいんです。
極論を言ったら全部書き出しても良いんです。
まぁ、仮にテストでこの問題が出たら
摩擦で紙が燃えるくらいのスピードで書き出さなければ
間に合わないのが残念で仕方ありませんが。

冗談はさておき。
算数ではこういった問題に取り組むときにまず紙に書き出します。
情報を形を変えて俯瞰して見るんですね。
社会に出てもなにか問題点を発見したら
紙に書き出してまとめてみる人は、仕事がデキる人が多いとか。

せっかくなので書いてみましょう(笑)

1秒目:○

2秒目:○○

3秒目:○○○○

4秒目:○○○○○○○○

次に、紙に書き出したら文章の内容を整理するわけです。

この場合、1個で始めたら1秒経つと2個、
2秒目に4個、3秒目には8個・・・といった具合に増えていってます。
ここで分かるのは「1秒経つと倍」ということです。
ということは、図からも分かる様に
「1秒前は半分」ということが分かります。
そう考えれば「2秒前は半分の半分」ですよね。
それって4分の1ですね!!
従って、「ある時」の2秒前であれば、
その時の量の4分の1と分かったわけです。
もうお分かりですね。満タンになったのが1分であれば
4分の1は2秒前。
58秒ということが分かりますね。

(2)の問題はここまで分かればもっと簡単です。
2個でスタートしたわけですから、
始めの1秒の図が無くなるわけです。
そう考えると59秒で満タンになることが分かりますね。

この様に、文章を様々な角度で「実態はどういうものなのか」
検証していく非常に良い訓練となるのが算数です。
この問題で算数の実質的な知識は一切使っていませんが、
今回のお話ではそういったツールとしての側面よりも、
試行し思考するプロセスに注目して下されば幸いです。

難しい問題であっても知っている知識の範囲内で
しっかりと考えて本質を掴む努力をする。
こういった姿勢を楽しみながら養う科目として
算数を好きになってもらえれば嬉しいです。

それでは今日も良い1日を!

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