子ども:歯科

こんにちは。
突然ですが、みなさんはご飯を食べる時に、
歯ってなんであるのか考えたことがありますか?

「歯ってなんであるの?」

もしお子さんにこう質問されたらなんと答えますか。

「そりゃ食べるためでしょ!歯がなかったら噛めないじゃない。」

その通りです。
では歯の存在はご飯を噛み砕くためだけでしょうか?

人間の体において歯の発生はとっても複雑です。
ここら辺りは教科書で読んでも眠くなります。
この内容の授業は大学でも数ヶ月かけても終わらないくらいです。
それくらい難しいのです。
僕もかなり苦手な範囲でした(笑)
それだけに、歯にはいろいろな機能や役割が備えられてあります。
噛むということだけでなく、発音や顎の成長、乳歯であれば永久歯への生え変わりの誘導と、本当にさまざまです。

今回はまず「噛む」ということにポイントをおいてみましょう。

単純に噛むといっても各歯にはそれぞれ違う役割があり、
それに応じた形態をしています。
前歯は噛みちぎる、奥歯はすり潰す、
犬歯は顎の左右への動きを誘導する、などなど。
獣や旧石器時代の類人猿とっては戦うための手段でもありました。
(未だにそれを実践している方もいるかも知れませんが・・・)

ご飯を食べる時に、
まずは前歯で噛みちぎったり引きちぎったりします。
そして口の中へ入れやすい大きさとなった食べ物を
噛みながらどんどん奥歯へ移動させます。

人間の歯は切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯と奥歯になるにつれて
大きくなっています。
そのため、口の奥へ食べ物が送られていきながら、
だんだんと細かく噛み砕かれていきます。

このことを「咀嚼(そしゃく)」といいます。

ところで、みなさんはこの噛むという行為、
これ自身が脳トレになっていることをご存知でしょうか。
歯と歯を支える骨は直接くっついているわけではなく、
その2つの間には歯根膜という靭帯があります。
この歯根膜は0.2mmほどの厚みしかないのですが、
これがまた驚くべき機能を持っています。

まずはクッションとしての役割。
歯根膜が歯にかかる衝撃を和らげてくれているため、
硬いものを食べても骨に衝撃が直接いくことはありません。

次に、脳へつながるセンサーとしての役割。
硬いものや柔らかいものを噛んだ時に、歯根膜の刺激が脳に伝わり、
顎の筋肉を自動的に動かし、噛む力を調整しています。
これは、歯根膜が三叉神経という大きな神経で
脳とつながっていることで可能となっています。

ここが今回の話で一番重要な部分です!

三叉神経という神経は12対ある脳神経の中でも最大の神経です。
そこに歯根膜がつながっているため、
噛めば噛むだけ脳に刺激が行き、
脳の発達や成長発育を促してくれるのです。

逆に、歯がなくなって歯根膜の刺激がなくなることで、
アルツハイマーや認知症などのリスクが高くなることが
証明されています。
なので、歯を晩年まで1本でも多く残すことはとても重要なのです。

噛むことと脳の発達については、また別の機会にご説明します。
食事をする際は、みなさんで会話を楽しみ、
ゆっくりたくさん噛んで、脳と体を健康にしていきましょう!

みなさん、今日もよい食事を!

 

9つの誤解:間違いだらけの“子育て”