子ども:野菜

前回、咀嚼することで脳が活性化されるという話をしました。
このことで、各消化器官の内分泌を促し、消化や吸収を助けます。

また、お米などに含まれるでんぷんは
唾液と混ざることで甘みを感じるのは
中学生の時に理科で習いましたよね。

むずかしく言うと、唾液の中の消化酵素であるアミラーゼ
(唾液アミラーゼ)がでんぷんを分解してマルトース(麦芽糖)
に変えるからです。
そのため、たくさん唾液を出せばご飯が甘く、
おいしく感じるのです。

ちょっと脱線します。
野菜嫌いな子がたくさんいます。
これはなぜでしょう。
奥歯の噛む面にはたくさんの溝があります。
この溝のおかげで奥歯は「圧搾(強く押してしぼる)」の他に
「搾汁(汁をしぼる)」という働きもします。

野菜は奥歯でよく噛むことで甘味やうま味が絞り出されます。
乳歯では奥歯の本数が永久歯に比べて少ないため、
本来の甘みを感じることが難しいようです。
大人になるにつれ、野菜のおいしさがわかるのは
そういった理由もあるようです。
野菜は食べられなくても野菜ジュースなら飲めるお子さんは
多いですからね。
よく噛んで食べる子ほど
好き嫌いなく何でも食べることができるのは、
そういったことも一因だと言われています。

ある先生の講演でおもしろい話がありました。
高齢になるにつれ、上下の歯はお互いこすれ合い、
石うすのように平らになります。
そうなることで、食べ物をすり潰す効率があがります。
そのため、若い方よりも老人の方が味は感じやすくなるはずだ、と。
唾液量の減少や味を感じる舌の味蕾という器官の衰退なども
噛むことで抑えることができるとか。
食べる楽しみは一生涯、続けていきたいですよね。

ところで。
飲み込むことを専門用語で「嚥下(えんげ)」と言います。
英語で「飲み込む」はswallowです。
「燕」もswallow。
嚥下は口に燕と書きます。
この一致はどうやら偶然のようですが、なかなか興味深いです。

次回は「唾液によって虫歯から歯を守る」というお話をしたいと思います。

それでは今日もたくさん唾液を出しましょう!よい食事を!

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