砂時計と少年

小学生の頃、
通信簿によく書かれた注意事項があります。
それは
「時間内で仕上げるように頑張りましょう」
という趣旨の注意です。

何のことかというと、
私は「図画・工作」の際、
作品を決められた時間内に仕上げることが
大変苦手だったのです。

絵を描くにしても、
工作の作品を作るにしても、
モチーフ段階からあれやこれやと悩みました。
作業が始まってからも、
やっぱり別の方が良かったか、
このまま続けるべきかと迷い、
途中で最初からやり直したくなる衝動にかられるのが常でした。
要するに「こだわり過ぎ」のタイプだったのです。

ですから、2時間使って作業しても終わらず、
放課後に居残りで続きをやるということが頻繁にあり、
そのことを注意されたのです。
ただ、当時は「納得がいくまでこだわりたい」
という気持ちが強く、
注意する先生の方が間違っているのではないかと
思うところがありました。

その後、中学・高校・大学と進みますが、
勉強にしてもスポーツにしても
「納得行くまでやりたい、納得できるまで先に進みたくない」
という衝動との戦いが長く続きます。
そのことが良い結果をもたらすこともありましたが、
マイナスの効果をもたらすことの方が多かったように思います。

そして、社会人になるとそのことの是非が
とても良くわかるようになりました。
仕事というのは、
ほとんどが決められた「期限」の中で
なさねばならないのです。
勿論、深く考え、
丁寧に仕事をすることはとても大切ですが、
個人のこだわりを優先させて
相手が求める「期限」までに完了しなければ、
仕事として評価されないことの方が多いのです。

私達は学校生活の中で、
時間割に従って勉強を始め、
時間割に従って勉強を終え、
テストなどを通じて、
一定の時期の中で相応の「結果」を出すことを
当たり前のように行って習慣化してきましたが、
社会人としての
「決められた時間の中で一定の結果を出す」
という行為の原型をそこで学んだとも言えるかも知れませんね。

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