悩む少年

前回までのお話で
小論文が苦手な生徒の存在について触れました。
今回からはその様な生徒が小論文を書くにあたって抱える、
本質的な問題点について触れていきたいと思います。

先の話で挙げたその様な生徒の主な特徴は
「主語が一人称」であることでした。
実は、まさにこのことが問題の本質の根幹を表しています。

主語が一人称であるということは、
あくまで「主観的」な立ち位置の話をしていることになり、
「私はこう思う」ということを主張しているに過ぎません。
思想や主張はもちろん自由ですが、
それはあくまでも「感想文」であり、
「論文」を書く以上は「読み手の納得」を意識して
書く必要があります。

そうなると
「読んでいる相手が納得するか否か」に
主眼が置かれるべきであり、
一人でも多くの読み手に対して
共感を促すことが目的となります。
だとすれば「主題」はともかく「具体例」に関しては
「複数の第三者」の行動や考えをもとに構成されている方が
目的に沿っているはずです。

小論文が苦手な生徒は、
この「複数の第三者」との付き合い方が
上手でない生徒が多いような気がします。

では、この「複数の第三者」とは一体何者なんでしょうか。

もちろん読み手は、自分の周囲の人間ばかりとは限りません。
全く違う場所、違う環境で生活している人が、
自分の論文を見る場合の方が圧倒的に多いわけです。
もちろん考え方が異なる場合も十分ありえます。
そして、当然ながらその「複数の第三者」と書き手は
一度も会ったことがありません。

従って、小論文を書くにあたって
「複数の第三者」という想像上の集団を生み出して、
彼らを相手に自らの主張をぶつけなければならないのですが、
そこに意識が向かないんですね。

では、その問題点を克服する為に
具体的に何をするべきかを述べて、
次回で一旦小論文雑感を終了します。

それでは今日も良い1日を!

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