子どもの自信

中学3年生の時、
教育に関するテレビ番組を偶然見ました。
それは、テストが終わった後、
点数に一喜一憂して終わるのでは無く
「同じ」問題を「満点」が取れるまで「繰り返す」
という取り組みについて紹介したもので、反復により記憶が定着し、
「満点」を取ることで達成感を得られるという説明でした。
同じ問題を「反復」することの意義をわかっていなかった私には
衝撃的な内容でした。

その時、数学が大の苦手のA君のことを思い出し、
「そうだ、これをうちの学校でもやったらどうだ?」
と思いついたのです。

後日、数学のT先生に提案してみました。
3年生でもう部活動も無いのだから、
放課後にテストの反復学習をやって、
学力向上を図ったらどうかという提案です。
するとT先生は、
「お前が管理人をするならやっても良い」
と言いました。

私は提案が受け入れられたことに喜び、それを了承しました。
自分のクラスだけの取り組みになりましたが、
クラスメイトに事情を説明して諒解を得て、
私が教卓に座って採点をし、
満点で無い場合は返却して再度解かせるという方法でした。

満点を取った人は教室から出て行きますから、
徐々に教室の生徒が減ります。
当然A君は最後まで残っていました。
そこで、最後にどうしてもできない問題のやり方などを教え、
とうとう正解にいたったのです。
2人で「やった~」と喜んだですが、
私はその時のA君の多少恥ずかしそうな笑顔と
「やればできるなあ~」というつぶやきを今でも覚えています。
思えば、教えることの喜びを痛感し、
教育の世界に進むきっかけの一つだったかも知れません。

私に取っては貴重な経験でしたが、よく考えると、
これは教師の責任でやることではないのかとも思います(笑)
振り返れば、いつも生徒をひっぱたいてばかりのT先生。
生徒を発憤させる別の方法があるのに・・・。
と残念に思うところもありますね。

これは、できない生徒を前にした時の、
教師としての矜持(きょうじ)が問われる場面だと思います。

 

 

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